岐阜県の生活系排水による汚濁負荷量(COD)は、合併処理浄化槽や下水道などの整備により、平成28年度は昭和54年度に比べ、57%減少しています。
また、生活系排水による河川の水質の汚濁割合は38%です。産業系排水の46%を下回ってはいますが、汚濁の原因としては多くを占めています。し尿を単独処理浄化槽や汲み取りで処理している場合、生活雑排水は未処理で河川に放流されているため、その対策が課題となっています。その訳を次で説明します。
河川の水質の汚濁割合
平成28年度(COD:総量規制地域内)
家庭から出る汚れの量を見てみましょう。
家庭で使う水の量は、一人一日あたり 200 リットルと言われています。家庭でトイレや炊事などにより使い終わった水を生活排水といい、このうち、トイレ以外の排水を生活雑排水といいます。
家庭から出る汚れの中で一番大きいのは、トイレからの汚れのイメージがありますが、実は台所から出る汚れが一番大きいのです。
※ BOD って何?
生活排水を戸建別に処理する場合、浄化槽が用いられます。浄化槽には合併処理浄化槽と単独処理浄化槽(浄化槽法では、「みなし浄化槽」といいます。)があり、岐阜県で使用されている浄化槽のうちの半数以上は単独処理浄化槽です。
生活排水のすべてを処理できる合併処理浄化槽は、汚れの量を1割に減らすことができます。しかし、トイレ排水しか処理できない単独処理浄化槽は、トイレ以外の排水(生活雑排水)が処理されないため、元の汚れの量の8割も河川に放流されているのです。単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に切り替えることは、河川をきれいにするのにとても大きな効果があります。
浄化槽のもつ多くのすばらしさのうち、特にお伝えしたい2つのことについて紹介いたします。
現在、特に地方での少子高齢化が社会問題になってきています。人口減少は、税収入の減少につながり、自治体の財政に大きな影響を与えます。下水道などの集合処理は人口減少に柔軟に対応することができないため、下水道事業は多くの自治体で財政を圧迫しています。一方、浄化槽は、通常、戸建て単位で設置することから、人口変動にも柔軟に対応でき、また、長い管路も必要ないため短期間で安価に設置できます。
このことから、生活排水処理における浄化槽の担う役割は、今後益々大きくなります。
東日本大震災など日本各地で起こった大規模な地震により、ライフラインも大きな打撃を受けました。その後、地震による浄化槽への影響についても調査がなされました。
浄化槽は耐衝撃性に優れた素材で作られています。大地震による液状化現象などで浄化槽本体が浮上又は沈下し、配管が外れることはあっても、本体そのものが壊れることは稀でした。
また、設置が容易かつ短期間でできるため、仮設住宅に利用され、既存の浄化槽の復旧も早期に行うことができます。
このように、将来起こり得る震災に対しても浄化槽の担う役割はとても大きいと言えます。
浄化槽の設置から維持管理までの手順をみてみましょう。
浄化槽をご使用するには、「保守点検」、「清掃」、「法定検査」の3つを行う義務があります。
浄化槽の維持管理のお申し込みは、まとめて手続きできる 「浄化槽らくらく一括契約」 が便利でお得です。
浄化槽は微生物の働きにより水をきれいにします。性能を発揮するには、浄化槽の中の水の流れを妨げるようなものや、微生物が働きにくくなるようなものを流さないことが大切です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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作業名 | 使用開始 | 保守点検 | 保守点検 | 7条検査 (設置後検査) |
保守点検 |
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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作業名 | 清掃 | 保守点検 | 保守点検 | 11条検査 (定期検査) |
保守点検 |
対照
浄化槽らくらく一括契約(浄化槽維持管理契約)を締結されている20人槽以下の合併処理浄化槽
この制度は、漏水異常を起こした浄化槽について、その原因及び原因者を遡及調査し、原因者が明らかな場合は原因者に、原因者が不明な場合などはこの制度で造成する基金により修理するものです。恒久的な生活排水処理施設として、設置者に安心して浄化槽を使い続けていただくことを目的としています。
岐阜県内すべての浄化槽が良好な放流水質を保持できるよう、浄化槽の維持管理に関わる3業種(保守点検・清掃・法定検査)が同一のソフトを利用し、浄化槽管理の作業内容や記録を共有することができます。
タブレット端末を用いて過去の作業内容や水質状況を確認することでより良い処置を行うことができます。
更に、これらのデータは浄化槽維持管理状況行政閲覧システムを通じて、県・市町村のパソコンで確認することができ、環境行政にも役立っています。
連携前と連携後の透視度の比較
合併処理浄化槽(10人槽以下)
→ 横にスクロールします。
3業種連携 前 (平成19年4月~平成20年3月) |
3業種連携 電子カルテシステム導入 後 (平成29年4月~平成30年3月) |
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基数(基) | 率(%) | 基数(基) | 率(%) | |
法定検査基数(11条検査) | 45,186 | - | 63,892 | - |
放流水 透視度30度以上 | 34,429 | 76.2 | 58,918 | 92.2 |
放流水 透視度30度未満 | 10,757 | 23.8 | 4,974 | 7.8 |
3業種連携の効果により、放流水の水質が改善されています。
現行の下水道事業の経営状況は、総じて厳しい状況にあることから、既存の合併浄化槽との共生により、汚水処理施設の整備が効率化されます。合併浄化槽は、生活排水を発生源で処理し、身近な河川や側溝に放流することから、河川の水量の確保、多様な生態系の維持、水辺地の保全等自然の水循環に寄与しています。また、人口の減少、地震・洪水などに対しても、管路や施設がコンパクトなため、その影響を受けにくい特性を有しています。
「みず再生施設認定制度」は、ブロワ停止時の警報機の設置や放流水の透視度30度以上の確保など、環境省の指針より厳しい基準に適合した合併浄化槽が、下水道と同様の施設であることを認定する制度です。
(一財)岐阜県環境管理技術センターは、関係業界とともに全国で初の制度として平成19年4月に創設しました。
認定証シール